| 樊瑞という男は、十傑集のリーダーを任されるだけあって常に冷静だ。 よほどのことがない限り、取り乱しもせず声を荒げることもない。 こんなふうに…執務室の机の下に全裸の幽鬼を囲い、男根を咥えさせているというのに息ひとつ乱さず、 部下のエージェントと打ち合わせを続けている。 幽鬼は自分にはたいした舌技などないと知っているが、こうまで無関心でいられるとそれなりに苛立ちもする。 軽く…歯を立ててみた。 一瞬、樊瑞が息を呑む気配は感じられたが、声を漏らす様子はない。 代わりに、剥き出しになっている自分の男根を樊瑞の靴でいやというほど踏みつけられた。 「…ッ！」 思わずこちらが声を上げそうになり、幽鬼は必死で押し殺す。 ややあって…樊瑞が無感情のまま射精するのと同時に、エージェントが出ていく足音が聞こえた。 口内に受けた精を飲み込むことに慣れていない幽鬼がなんとかそれを飲み下したとき、樊瑞の男根が口から 外れて大きな手が机の下から、まるでネコでも引っ張り出すようにして幽鬼を引っつかんだ。 「ずいぶんな悪戯をするものだな」 樊瑞はかすかに笑い、引き上げて立たせた幽鬼の乳首をつねり上げた。 「アッ…」 「お前がじいさまのものでなければ、歯をへし折ってやるところだが」 もっとも、この優しい男がそんな真似をするはずはないだろうが。 幽鬼はわずかに目を逸らして素直に謝った。 「声が…聞こえないから、俺が下手なんだと思って…」 樊瑞の手が幽鬼の顎を捉えてこちらへ向かせる。 「声を出せば都合が悪いのはお前も同じだ。下手、とまでは言わんがまだまだではあるな」 そうして幽鬼の身体をくるりと反転させ、机に突っ伏させた。 背後から軽く耳朶を噛みささやく。 「…いらんのか？」 ふっと息を吹きかけられれば幽鬼の身体が小さく震えた。 「…欲し…い」 それが目的でここへきたのに、このまま帰ってしまえば自分が狂いそうになる。 樊瑞は幽鬼の片足を机に上げさせた。 ごく自然に尻が開き窮屈な孔が露わになる。 樊瑞は引き出しの中から潤滑剤を取り出し、己の男根にまんべんなく塗りつけた。 孔に押し当て、一気に最奥まで押し込む。 「ウ…アアッ！」 幽鬼の手に触れた報告書が握り締められ、クシャと音を立てる。 「もうこの時間だ。だれもくる心配はない…お前は心置きなく声を出せ」 「アアッ…アアッ…」 樊瑞に揺すられるたびに机に押しつぶされている男根が苦しい。 なまめかしい声を上げるたびに、鏡面のように磨かれている樊瑞の机が曇った。 ややあってから樊瑞はいきなり男根を引き抜いてしまった。 「や…！」 まだ満足しきっていないのにと幽鬼が振り向くと、樊瑞は幽鬼にこちらを向かせその身体を机の上に押し上げた。 両足を開かせ胸につくまで折り曲げれば、立った樊瑞の男根がちょうど幽鬼の孔にいい位置に当たる。 「仕切り直しだ」 樊瑞はそう言って笑い、再び幽鬼を貫いた。 「アウッ…！」 のけぞった弾みで幽鬼の頭は机からはみ出し、逆さまになる。 頑丈なはずの机がギシギシと動きにあわせて軋んだ。 幽鬼の頭に血が上り、ドクドクと脈打っている。 机の上げる声、幽鬼の血が上げる声、そして…幽鬼自身の声を聞きながら、幽鬼の頭の中が真っ白に なっていった。 「大丈夫か？」 幽鬼の頭を優しくかき抱き、樊瑞が尋ねる。 「血が上ってしまったか…そのまま歩いては危ない。少し休んでいけ」 優しげな声にうなずいているのか、自分の鼓動に相槌を打っているのか…わからぬままに幽鬼は目を閉じて 樊瑞に抱かれていた。 |