感触
幽鬼が任務から戻ってきたと聞き、カワラザキは幽鬼の私室へ赴いた。
ようやく部下を幾人かつけてもらった駆け出しのひよっ子は、その能力なら辛うじて熟せるはずだった任務を、カワラザキ以外の者が危惧した通り仕損じて戻ってきたのだ。
それも能力の上回っている者に邪魔されたというような理由ならいざ知らず、捨石となって当然である部下をかばって自分が負傷し、その結果として引き上げてきたというのだから、孔明が眉をひそめたのも無理はない。
ベッドの上で寝ている幽鬼は、全身包帯だらけで部屋の中にまで消毒薬の匂いを振りまいていた。
ノックもなしに入ってきたのがカワラザキだとわかると、幽鬼はぷいとそっぽを向いてしまう。
カワラザキはベッドの端に腰かけ幽鬼の頭に手を置いた。
「まずは…命に別状なくてよかったなと言うべきか」
幽鬼はその手を払いのけ、素早くカワラザキに向き直った。
「俺のことを笑いにきたんだろう！小生意気な餓鬼が調子に乗って怪我して…！」
「傷口が開くぞ」
「放っておいてくれ！」
幽鬼は不貞腐れたような態度で再び背を向ける。
不意にカワラザキはその髪を鷲掴みにし、顔をこちらに向けさせて凄味のある声で言った。
「わかっているんなら粋がるな、餓鬼が…」
わかっている…わかりすぎているから自分が腹立たしくて仕方がないのだ。
幽鬼はどうしようもない自分を抑えられなくて…いきなりカワラザキの首根っこにしがみつくとその唇に食らいついた。
カワラザキは動じない。
それどころか逆に幽鬼の頭を押さえ込み、幽鬼の唇に歯を立てた。
互いの口中に鉄の味が拡がる。
さらに手を幽鬼の股間へと伸ばし、万力のような手で男根をつかんだ。
悲鳴を上げたくとも唇をふさがれていてできない…抗うようにカワラザキの肩に爪を食いこませたが無駄だった。
それだけで体力を消耗し、力なくベッドに倒れた幽鬼の両足を開かせる。
いつの間にか解けた包帯の一部を手に取ると、それで幽鬼の男根を包み両端を持って緩々としごいた。
「あ…あ…」
粗い幅広の布地でこすられ否応なしに勃起させられる。
幽鬼の男根が張り詰めたのを見計らい、その根元を包帯できつく縛ってしまった。
そうした状態のまま幽鬼の足を、膝が肩につくほどに折り曲げて窮屈な孔をさらけ出した。
両腕も両足も傷だらけで己の体重を支えるのは難しく、唯一背中には傷がないからというカワラザキなりの配慮だった。
「う…ああっ！」
それでも相手が怪我人であることにはかまわず、凶器のような男根を挿入し幽鬼の腸内を蹂躙する。
奥深くまで突き上げようとするため、幽鬼の柔らかな双球をカワラザキの硬い毛が刺す。
前立腺を刺激され、幽鬼の男根は張りつめているのに吐精できず脈打ち始めた。
「ゆる…して…」
ようやく素直な言葉を吐いた幽鬼の手を取り、己の男根へと導きながらカワラザキが言う。
「これは罰ではない…部下とは単なる捨石ではなく己の財のひとつだと、儂の教えたことを守った褒美だ」
幽鬼は半ば上の空でそれを聞き、包帯の手で己の男根をしごくが結び目がわからず解くことができない。
「イ…かせて…も、もう…我慢でき…ない…っ」
苦痛に歪んでいた顔が官能的に変わり、さらに切ない表情へと移り変わっていく…カワラザキの好きな顔だった。
男根を縛り上げていた包帯の一端を解けば、その瞬間幽鬼はカワラザキを締めつけながら吐精した。
カワラザキが男根を引き抜いても、まだ精を吐き出して身体を小刻みに震わせている。
気遣いはしたつもりだったが動いたせいで、幽鬼の包帯のあちこちから血がにじんでいた。
幽鬼の部下ではなく事情をよく知るカワラザキの部下を呼び、精液と血にまみれた包帯とシーツを取り換えさせた。
「今は休め。次に取り返せばいい」
再び頭に置かれたカワラザキの手の感触にうなずきながら、幽鬼は眠りの中へ落ちていった。