| …どうしてこんなことになってしまったのだろう…。 なにも考えられないはずの幽鬼の頭に、そんな言葉がふっとよぎった。 セルバンテスの眩惑術、それがどれほど恐ろしいものかを思い知らされたのだ。 カワラザキのいない夜、大人になった幽鬼は久しぶりにセルバンテスの部屋を訪ねていた。 「久しいことだね」 酔えばなおさら術に陥りやすくなると知ったのは、それよりずっとあとのことで、そのときはなにも考えずに セルバンテスが勧める杯を干した。 「私はこう見えても執念深い性質でね、本当のことを言うとじいさまに嫉妬しているんだ」 「フ…ン」 「だからせっかくのチャンスを…逃しはしないよ」 セルバンテスのかざした手が、術にかけるものだと気づいたときにはもう遅かった…。 シャラリという金属音は、幽鬼の両手と部屋の天井をつないでいる鎖の音、そして全裸の幽鬼に 取りついているのはセルバンテスだった。 「寂しかったかい？私の可愛い奴隷…今からはたくさん可愛がってあげるよ」 片方の乳首を指でつねりながら、もう片方に舌を這わせる。 その手が外れてゆっくりと腰をすべっていき、窮屈な孔にたどりついた。 「ああ、相変わらず狭いね…少し広げないと入らないか」 いつの間にかセルバンテスの手には注射器があった。 幽鬼は信じられないというように目を見開きセルバンテスを見るが、セルバンテスはかまわず幽鬼の尻を 押し開き、窮屈な孔の襞にプツリと突き立てた。 「アーッ！」 鋭い焼けるような痛みに小さな悲鳴を上げる。 薬効はすぐに現れた。 筋肉が弛緩して小さな孔が緩んでいくのがわかる…それはセルバンテスにもわかっているようで、 幽鬼の表情にニヤリと笑った。 「今、いいものを入れてあげよう」 セルバンテスが取り出してきたのは、赤ん坊の腕ほどもある大人の玩具だった。 「や…やめ…」 「嫌がるんじゃない」 男根のような先端を押し当てると、先ほどの注射のせいで玩具はするすると幽鬼に飲み込まれていった。 「アアアッ、アアッ」 幽鬼の叫びを無視してセルバンテスは楽しそうに玩具を押し入れていく。 やがてそれはすっかり幽鬼の中に納まってしまい、小さな孔はまた窄まっていた。 「こいつは手元で操作できるんだ」 セルバンテスがスイッチを入れたとたん、玩具が幽鬼の中でえぐるような動きを始めた。 「ウアアッ！」 幽鬼が激しく身をよじるたび、両手の鎖がシャラシャラと音を奏でる。 玩具の動きに触発されて、幽鬼の男根が勃起する。 「ああ、いい反応だ」 セルバンテスは唇を歪め、幽鬼の両手にあった鎖を解いた。 「さ、服をきて。時間だ」 「な…んの…」 足が震えて立っていることもままならない幽鬼に服を渡す。 「決まっているだろう？今から会議だよ。じいさまと直系がいないようだが…残りの者でやると孔明が 言っていただろう？」 もうそんなことすら覚えていない…それ以上に肝心なのは。 「抜いて…くれ…」 「ダメだよ。じいさまの優しさに触れて、本当の主人を忘れてしまった奴隷にはお仕置きが必要だ」 「冗談は…アウッ！」 やめろと言いかけたのを再びスイッチで遮られた。 「フフ…孔明は遅れると怖いよ？酔いがひどいから出ない、とは言えないだろう。大丈夫、私のマントを 貸すからそれで前を隠せばいい。幽鬼もこんな姿を人前に晒したくないだろう？」 言われるままにのろのろと服をつける。 マントで身を隠し、通路の壁に手をついて脂汗を浮かべながら議場へと向かった。 孔明の声がどこか遠くから聞こえてくる…。 断続的に襲ってくる玩具の動きにとうとう耐えられなくなって、幽鬼はその場に倒れこんでしまった。 「どうされました幽鬼殿」 「す、すまない…体調が優れず…」 孔明は温く首を振る。 「いけませんな…どうぞお引取りください。無理をなさいませんように」 「す、すまん…」 まるで這うようにして幽鬼が退出したとき、セルバンテスが手を挙げた。 「孔明、今の作戦、私も関係ないのだろう？」 「ええ、まあ…」 「なら私もちょっと席を外すよ。幽鬼くんがずいぶん具合悪そうだからね、ちょっと見てくる」 孔明があまり興味なさそうにうなずいた。 セルバンテスが議場を出ると、案の定幽鬼は通路の片隅にうずくまってしまっていた。 何事かと案じて寄ってきたエージェントたちをセルバンテスが散らす。 「ああ、心配ない。みんな、持ち場に戻りなさい」 そうして幽鬼の耳に唇を寄せてささやいた。 「つらそうだね…」 もはや答えることもできず幽鬼はうなずく。 「ここで抜いてあげようか。クク…エージェントたちがさぞ驚くだろうね…」 幽鬼は涙で濡れた顔を上げ、何度も激しく首を振ってセルバンテスにしがみついた。 「や…あ…こ、ここは…やぁ…お…願…い…」 幽鬼の屈服を見て取ったセルバンテスが会心の笑みを浮かべる。 「フフ…じゃあ私の部屋へいこうか」 もう一度服を脱ぎ、幽鬼はためらいなく四つん這いになってセルバンテスに腰を突き出した。 頬を染め、消え入りそうな声で哀願する。 「抜…いて…」 「うん？言葉遣いが違うんじゃないかな？」 セルバンテスを振り返り、幽鬼はまた同じ言葉を繰り返した。 「抜いて…ください…」 「素直な子は大好きだよ。でも…自分で出してごらん。手を使わずに、ね」 絶望的な思いで幽鬼は下腹に力を込め、排泄を見られているような恥ずかしさを堪えてなんとか玩具を 押し出そうとした。 「ンッ…ンアッ…アッ…」 玩具が薬のせいでまだ緩んでいる孔を押し広げ顔を覗かせる。 それをセルバンテスは意地悪く押し戻してしまった。 さらには振動を一番強くした状態で玩具のスイッチを入れる。 狂いそうな感覚に幽鬼は髪を振り乱しセルバンテスに訴える。 「やああ…も、もう…やあ…」 セルバンテスは涙でクシャクシャになった幽鬼の鼻先に自分の男根を突きつけた。 「上手にできたら抜いてあげよう」 それで楽になるのならと幽鬼は飢えたイヌのように男根にむしゃぶりついた。 舌を這わせ、吸い、顔全体を動かしてセルバンテスの男根を愛撫する。 「出すからね。こぼさずに飲むんだよ」 口中にセルバンテスの精液が迸る。 思わず吐き出しそうになるのを抑え、幽鬼は苦い薬を飲む子供のような顔で精液を飲み下した。 「フフ、よくできました…さあ、向こうを向いて。アレを抜くよ」 玩具の根元には小さな引っかかりでもあるらしく、セルバンテスは幽鬼の孔に指を差し入れ玩具を一気に 引き抜いた。 「アアアッ！」 腸ごと引きずり出されそうな衝撃に、勃起したままの幽鬼の男根から精液が噴き出す。 「フフフ、前も後ろも楽になったね」 だらしなく足を広げ、ラグの上で呼吸を整えようとしていた幽鬼だったが、また沸き起こってきた別の感覚に 目を見開いた。 「な、な…に…？」 「ああ…アレに塗ってあった薬が効き始めたようだねえ…」 奥のほうがもぞもぞと痒くなってくるような感覚…なにかで擦られなければ耐えられない苦しさ。 「か、痒いっ、痒いっ」 躊躇せず自分の指を突っ込んでみるが、到底届くようなものではない。 代わりになるようなものも見当たらず…幽鬼はようやくセルバンテスの企みに気づいた。 「い、入れて…入れてっ」 意地の悪い笑みを浮かべていたセルバンテスの顔が急に厳しくなる。 「抜いてと言ったり、入れてと言ったり、なんて我侭な子だ」 そう言って小気味よい音とともに幽鬼の尻を引っぱたいた。 しかしそんなもので体内の苦しみが消えはしない。 「ア…ア…入れて…ぶっていいから…入れて…え…」 切ない目で幽鬼がねだる。 勝ち誇ったようなセルバンテスの笑い声を聞きながら、幽鬼は自分がどうなっていくのだろうとぼんやり 考えていた。 |