| この1週間に幽鬼はいったい何人の人間を屠ったのか、わからない。 たとえそれが敵であっても、あまり殺戮を好まない幽鬼がこうなったのも…苛立ちのせい。 孔明に報告書を提出し、自室へ戻る途中でヒィッツカラルドと出会った。 「やあ、幽鬼」 「ヒィッツカラルド…」 ヒィッツカラルドの顔を見るとどうしてもあの写真が思い出されてしまう。 「聞いたよ。ずいぶんと暴れたそうじゃないか…」 「うるさい」 「フフフ、まあ、破壊はある種の美学だ。それに気づいてもらえたかと思うと…こちら側へようこそ、 というところかな」 こちら側という言葉が、自分をヒィッツカラルドの仲間にされたような気になり幽鬼は無意識にヒィッツカラルドの 胸倉をつかんでいた。 「ふざけるな。俺は貴様の側などではない！俺は…貴様のようなことは…耐えられない…ッ」 いつもは温和な幽鬼の変貌振りに驚き、ヒィッツカラルドは幽鬼をなだめようとする。 「おい、どうした幽鬼。お前らしくな…」 「貴様は！」 幽鬼はなおも食ってかかる。 「貴様はなぜ平気なんだッ！あんな…あんな目にあいながら…なぜ…」 ヒィッツカラルドをつかみながらその場にズルズルと崩れていく幽鬼を、ヒィッツカラルドが助け起こした。 「疲れているのか？とにかく…私の部屋で話を聞こう」 ヒィッツカラルドの私室で水を1杯もらってようやく幽鬼は落ち着いた。 「さっきは、その…すまなかった。取り乱して…」 落ち着けば素直な言葉も出る。 ヒィッツカラルドは笑って首を振った。 「いや、気にしなくていい。それより…」 ヒィッツカラルドがソファに座った幽鬼の横に腰を下ろす。そしてその耳にささやいた。 「さっきの言葉だと…お前は私のなにかを知っているのか？」 幽鬼は一瞬身体を硬直させ、小さくうなずいておずおずと話し始めた。 「…ピアスの…写真を…」 「ああ、アレを見たのか」 ヒィッツカラルドは平然と笑ったままで答えてやる。 「フフ、ということは…お前も調教中ということかな？」 調教などというおぞましい言葉に幽鬼は身を震わせる。 だがカワラザキがいない現在、自分の置かれた状況を話せそうなのはヒィッツカラルドしかいないとも思った。 「その様子じゃあ、なにかされている最中だな？」 幽鬼はこくんとうなずき、ベルトを緩めて恥ずかしさを堪え例の器具を見せた。 「フフ、コレをやられているのか…つらいだろう？」 「は、外せないか…？」 わずかな期待を込めてそう尋ねるとヒィッツカラルドは肩をすくめた。 「私の指で腰に結びついている部分を切ることはできるが…それがわかったらお前、もっとひどい罰を 受けるんじゃないのか？」 それを想像して幽鬼は顔を覆う。それを慰めるようにヒィッツカラルドが肩を叩いた。 「おとなしくしていれば外してもらえるさ。そして私のようになってしまえばいい」 ヒィッツカラルドは胸をはだけ、ベルトを緩めて前をはだけさせた。 乳首と男根のピアスがいやでも目に入る。 「痛く…ないのか」 「そりゃあ最初はつらかったさ。だが…そんなものすら徐々に快感へ変えていけるんだよ。そうなってしまうと、 今度は次に彼がどんなことをしてくれるのか、期待するようになってしまった…」 そうして幽鬼の手を取り、自分の男根へ導くとリング状のピアスを引っ張らせた。 「ちぎれるんじゃないかと思うような痛みがね、躾けられたおかげで悦びに変わっていくのさ…だから幽鬼、 お前の場合は痛みなのか恥辱なのか知らないが、与えられるものを悦べばいいんだよ。そうすりゃ…楽になる。 お前はその相手が死ぬほどきらいなのかい？」 確かにセルバンテスはひどい痛みを与えたりはしない。 しかし…セルバンテスに身を委ねることがカワラザキへの裏切りのように思えてしまう。だから幽鬼は セルバンテスを拒絶するのだ。 もしも自分に恥辱を与えているのがカワラザキだったなら…。 「…もういい」 自分の中に浮かんだありえない妄想を払うように首を振り、幽鬼はベルトを締めなおしてヒィッツカラルドの部屋を 出ていった。 「ククク…幽鬼か。まだ初心な感じがイイんだろうねえ…なんだか私までゾクゾクしてきたよ…」 そうしてヒィッツカラルドは緩々と男根を扱き始めた。 自分の部屋へ戻りながら幽鬼はふと足を止めてヒィッツカラルドの部屋を振り返った。 …彼、とはだれのことだ？ あのときセルバンテスはまるで他人がそうしたようにヒィッツカラルドの話をした…では、だれが？ 少し考えたが、今はそんなことを考えている場合ではないとまた足早に歩き始めた。 「いい子にしていたかな？」 セルバンテスは翌日帰ってきた。 早速幽鬼を自分の部屋に呼びつける。 「私にあいたかったかな？」 優しく問いかけると幽鬼は目をそらしたままでかすかにうなずく。 そのとたん頬を叩かれた。 「嘘はいけないな、幽鬼」 幽鬼を抱きすくめ服を脱がせながら言い聞かせる。 「例のものを外して欲しいだけだろう？私にあいたいわけじゃない…」 ここで肯定すればまた恥辱に塗れた罰が待っている…幽鬼は首を振った。 「違…う…本当に…あいたかった…」 セルバンテスは一転して優しい表情になった。 「フフ…留守のあいだに素直になったねえ。ご褒美にアレを外して、たくさん可愛がってあげないと」 指先を集中させ、鍵穴の部分を覆っていた金属を溶かす。そしてポケットから鍵を出して、ようやく幽鬼の男根は 自由になった。 「ああ、かわいそうに…少し刺さった痕があるねえ」 セルバンテスは幽鬼の前に屈み込み、男根にうっすらとにじんでいた血を舐めた。 そんな刺激だけでも幽鬼の男根は勃起してしまい、それが幽鬼には少し情けなく思えた。 「楽にしてあげようね。でもその前に…」 セルバンテスはいつものように幽鬼をベッドに縛り付けると、バスルームに消えなにかを持って戻ってきた。 幽鬼の陰毛にシェービングクリームをたっぷりと吹きつける。 「な…」 「幽鬼のものがよく見えるようにね…きれいにしておこうと思って」 剃毛されたらどんなきっかけでカワラザキに見られて問いただされないとも限らない。 「い、いやだ…ッ」 「おやおや、素直になったと褒めたばっかりなのに…動くと大事な部分まですっぱりいっちゃうよ？」 セルバンテスは剃刀を動かして幽鬼の陰毛を剃り落としていく。 わずかな時間で幽鬼のそこにはなにもなくなってしまった。 「さあ、これでいい…性奴にはこんなものは必要ないからね」 …堕ちていく…ぼんやりとそんな言葉が浮かび、ヒィッツカラルドの言葉が思い出された。 この状況から抜け出せないのなら、いっそなにもかもかなぐり捨てて従ってしまったほうがいいのかもしれない。 「さて、やっと一緒の時間が過ごせると思ったのに…今度は任務らしいんだよ。出かける前にたくさん 愛しあおうか」 幽鬼の拘束を解くとセルバンテスは安楽椅子に腰を下ろし、すでにいきり立った男根を取り出し振ってみせた。 「おいで…自分で広げて入れるんだ」 幽鬼は言われるままにセルバンテスに近づき、その膝に座るように自分で尻を開き、孔にセルバンテスの男根をあ てがった。 ゆっくりと息を吐きながら少しずつ…に焦れたセルバンテスが幽鬼の腰をつかんで一気に引き下ろした。 「ヒィ…ッ！」 「ダメだよ、時間が惜しいんだからさっさとしないと…」 幽鬼の太腿をつかみ、両足を大きく広げた状態で抱え上げた。 「ウ…アアッ！」 内臓が押し上げられるような苦しさに思わず声が上がる。 そのときだった。 「おいセルバンテス」 ノックもなしにアルベルトが部屋へ入り込んできたのだ。 幽鬼はすべてを曝け出している自分を見られまいと身をよじるが、セルバンテスの手から逃げられない。 「なんだいアル、今は取り込み中だよ」 アルベルトはさして驚く様子もなく幽鬼をじっと見下ろしている。 「次の作戦のことで話をしにきたのだがな」 「そういうことなら仕方ないなぁ…ちょっと待ってておくれ」 ほかの人間に見られていると思うだけで幽鬼の身体は熱くなり、緊張から自然と孔が締まる。 アルベルトは咥えていた葉巻を離し、幽鬼の男根へと近づけた。 「ダメだよアル、傷をつけちゃ」 「フン…素晴らしきめは葉巻を押しつけてやったら、涎を垂らしながら射精しおったがな」 「この子はそういう子じゃないんだよ…なんだ、君も退屈なのか」 それからセルバンテスは楽しそうに言葉を続けた。 「そこのテーブルにね、注射器がある。そいつをこの子の孔に注射してやるんだ。そうしたら…君も楽しめるよ」 アルベルトの手にあるものは、以前幽鬼に使われた注射器…アルベルトはなんのためらいもなく、幽鬼の 孔の襞に注射器を刺した。 「アーッ！」 鋭く焼ける痛み…それが治まってしばらくすると孔が緩んできたのを感じた。 アルベルトは自分の男根を取り出し、セルバンテスの男根が入ったままの幽鬼の孔にあてがった。 幽鬼は恐怖とこれから与えられる痛みを思い、涙を浮かべて激しく首を振る。 「い…いや…いやーッ！」 「フフ、叫び声が女の子みたいになっているよ…さあ、二本刺しだ…」 アルベルトはセルバンテスの男根に沿わせるようにして、幽鬼の中に男根をもぐりこませた。 その瞬間に幽鬼の上げた叫びは、セルバンテスが口をふさいでも本部中に響くのではないかと思われるほど だった。 幽鬼は涙の痕をつけたままうつろな瞳で、セルバンテスの向かいに座ったアルベルトの男根を咥えていた。 「孔明の話では、次の作戦は儂とお前で指揮するようにとのことだが…」 アルベルトは幽鬼の愛撫も感じないかのように話をする。 「ああ、ドミノ作戦…とか言ったっけ。孔明ってセンスないね」 セルバンテスはクスクス笑いながら靴の爪先で、まだ薬が効いている幽鬼の孔を広げた。 先ほど幽鬼の中で互いに擦りあって放った大量の精液がドッとあふれ出た。 幽鬼はもうなにも反応せず、ぼんやりとアルベルトの男根を頬張ったままだった。 …なにもかも、あきらめた…もう、どうにでもすればいい…。 そうして心の中にセルバンテスの存在を刻みつけようとしていた。 |