| セルバンテスは自分の男根にまんべんなく潤滑剤を塗りつけながら言った。 「あの薬はね、本来女の子に使うものなんだよ。効能は男の精液でしか中和できないんだ」 もはやそんなことはどうでもよかった。 ただ早く楽になりたい一心で、幽鬼はセルバンテスに腰を突き出していた。 「さあ、本物だよ」 あの玩具よりは幾分細いものの、熱い楔が幽鬼の体内に侵入してくる。 「アアッ！」 「注射の効き目が切れてきたかな…きつくなってきたね」 根元まで挿入されているのだろう、セルバンテスの硬い毛が幽鬼の尻を刺す。 呻くばかりでなにもいえない幽鬼の口をセルバンテスがつかんだ。 「ほら…今どうなっているか、その口で言ってごらん」 幽鬼は歯を食いしばり首を振る。 セルバンテスが腰を強く突き上げた。 「アウッ！」 「言うんだ」 ややあってから幽鬼は消え入りそうな声でポツリと言った。 「ア…ご、ご主人…さまのが…俺の…中に…ッ」 「フフフ、少し素直になったかな…ご主人さま、か。悪くはないがね」 自分のつぶやきを吹っ切るかのようにセルバンテスが男根を激しく抜き差しする。 「もっと慣らして、後ろの孔だけでイケるようにする。わかったね？」 「アアッ、アアッ！」 セルバンテスの動きに耐えられず、幽鬼はそのまま気を失ってしまった。 …これはセルバンテスの術、眩惑術が解ければ…おぞましい記憶は残っても「事実」ではない…。 「残念ながら、これは私の術ではないよ」 心を見透かされたようなセルバンテスの声に目を開ければ、幽鬼はまだセルバンテスのベッドにいた。 「フフ…幽鬼はこれが私の眩惑術だと思っているんだね。でも違うんだ。私が最初にかけた術は…議場に いったところで解けていたんだよ」 優しげに頬を撫でるセルバンテスに幽鬼は目を見張る。 …いったいどこからが「現実」なのだ？信じたくない…信じたくはないが…。 「よほど疲れたのかな？幽鬼は2日間も眠っていたんだよ」 セルバンテスはベッドから降り、身支度を整え始める。 幽鬼もベッドから出ようとして、己の両手が縛られベッドヘッドにつながれていることに気づいた。 「本当はもっと可愛がっていたいんだがね…あいにく表の仕事が入ってしまった。1週間も帰ってこれないのが 残念だよ」 よもやセルバンテスが1週間もこの部屋へ自分を置いておくとは思えない。 そもそも自分が1週間も行方不明になっていれば、不審に思う者もいるはずなのだから。 「ほど…け…」 セルバンテスをにらみつけてかすれた声でそう言うと、軽く頬を叩かれた。 「まだ自分の状況が認められないようだね…いいものを見せてあげようか」 そう言ってセルバンテスは幾枚かの写真を取り出してきた。 目の前に差し出された写真にそっぽを向こうとして、幽鬼の目は一瞬釘付けになった。 そこには全裸のヒィッツカラルドが写っていた。 複雑な形の縄目を打たれ、両足を開かれて余すところなく写されている。 幽鬼の目を捉えたのは、乳首と男根にいくつもつけられたリング状のピアスだった。 両の乳首につけられたピアスが細いチェーンでつながっている。 男根の一番柔らかそうな先端や、双球へと続く薄い皮膚の部分にもピアスがつけられていた。 「ヒィッツくんは痛いのが好きなんだよ。こうやって撮られたりするのも好きなんじゃないかな」 セルバンテスが別の1枚を提示する。 仰向けになったヒィッツカラルドの尻に、持ち主こそわからないが太い男の腕が飲み込まれていた。 こんな状態だというのにヒィッツカラルドは涙こそ少し浮かんでいるものの、明らかに愉悦の表情を浮かべている。 「ここまでするにはどれくらいかかったのだろうね…」 意地の悪い笑みを浮かべてセルバンテスは幽鬼を見る。 幽鬼は顔を背け何度も何度も首を振った。 「おや、怖いのかな？フフ、大丈夫だよ。幽鬼に傷をつけたら怒る人間がいるからね。私はそんなことしないよ」 そうして幽鬼に目隠しをした。 「な、なに…？」 「しばらく留守にするけれど、そのあいだに悪いことをしないようにね、空っぽにしておこうかと思って」 視覚を奪われた状態で、幽鬼は無数の手が自分の身体を這っていることに気づいた。 実体はない…ただ腕だけが、幽鬼の両足を広げて孔に指を差し入れ、男根を扱き、乳首を弄んでいるのだ。 「ヤ…アアッ！」 執拗に責められ、2時間ほどのあいだに何度射精したのかわからない。 「もう…もう、やめ…ウウ…ッ…」 息も絶え絶えになってようやく腕の気配は消え、目隠しを外された。 「ああ、こんなになって…かわいそうにね」 男根も孔も激しく嬲られて赤く腫れあがっているのだろうとは、自分で見なくても予想がついた。 「これだけ搾り出しておけば1週間くらいは持つだろう」 そう言ってセルバンテスが幽鬼の男根になにやら装着し、腰へと結びつけた。 「特別に作らせたんだよ。男の貞操帯とでも言えばいいのかな…内側に針がついているからね、用を足すのには 平気だが勃起したりしたら…刺さるよ」 「バ…！」 罵ろうとして…また罵ったらどんな罰を受けるかと思い、口を閉じた。 「心配いらないよ。ほかのだれかに触れさせたり、自分で触れなければ勃ったりしない…戻ってきたらこいつを 外して、うんと可愛がってあげるからね。もちろんわかっているだろうが、浮気したりしたら…」 セルバンテスは幽鬼の男根と孔とに触れた。 「ここを両方とも私の指で焼くよ？」 出かけなければならないというセルバンテスに放り出され、幽鬼は痛み気だるい身体を引きずって自分の部屋へと 戻ってきた。 ベルトを緩め、装着されたおぞましいものを外そうとするが、肝心の鍵が入るべき場所が金属で固められている。 それを溶かさなければ鍵は入らないだろうし、この部分だけを溶解させようとしても自分も火傷するだろうことは 免れない。 つまりはセルバンテスがその能力の指先でこれを溶解させなければ、外すことはできないようになっているのだ。 幽鬼は通信機のスイッチを入れた。 「激動のじいさまにつなげ」 しかし応対するオペレーターマシンは冷たい返事を返してきた。 「カワラザキさまは極秘任務のためおつなぎできません」 「いつ戻る？」 「ご帰還の予定は…3週間後。しかし確定ではありません」 叩きつけるようにスイッチを切り、幽鬼は自分のベッドに突っ伏した。 唯一、自分をこの地獄から救ってくれそうなカワラザキが…戻らない。 「アーッ！」 幽鬼は絶望的な悲鳴を上げ、力任せにシーツを引き裂いた。 |