怒鬼「…女官長の部屋のそばで…なにをしていた…」 レッド「フン、貴様には関係なかろう」 怒鬼「…拷問…？」 レッド「拷問など受けてたまるか。 内密に女官長の命を狙ってる輩がいると聞いたのでな、散歩のついでに様子を見ただけだ」 怒鬼「…散歩？」 レッド「いつもと違う道を散歩しても問題あるまい。 私は女官長の命などどうでもいいのだからな」 サニー「てえいっ！」 BF「うわ、顔面に正拳めり込んだ…」 サニー「まったく…護らせてくださいとお願いすれば、私だってまあいいでしょうと言ってやるものを」 BF「うわ、めっちゃ上から目線…」 レッド「だ、だから、貴様なんぞなんとも思ってないと言ってるだろう！ ただ目の前で事件が起きれば寝覚めが悪いと思ってだな…！」 サニー「もう一発食らいたい？」 BF「すいません、僕からも言いますんで許してやってください！ この忍者、ツンデレなんです！」 サニー「じゃあ仕方ないわね。 以後、気をつけるように！」 BF「僕…国王なんだけどな…」 |
BF「料理長、お菓子できてるかい」 十常寺「陛下、之」 サニー「きゃー、いい匂いー」 十常寺「善哉、善哉」 BF「そっちは町の子供たち用だから、食べちゃダメだよ」 サニー「えー、残念」 十常寺「此方女官長及陛下用菓子」 サニー「やった！ お菓子だ！」 BF「君、本当、食べることと色気については容赦ないよね」 サニー「陛下、ケリ食らいたいですか？」 |
残月「なに、陛下が新しい馬車を、と？ この残月にお任せあれ」 サニー「というわけでー、新しい馬車が到着しましたー」 BF「…なに、このド派手な馬車…」 残月「見てくれはちょっと派手かもしれません。 が、このスイッチを入れますと馬車全体が光り、音楽が流れるようになっておるのです」 サニー「やだー、私、これと似たようなのをニッポンの千葉浦安あたりで見たような気がしますわー」 BF「司書、君は僕に着ぐるみを着ろと言うのか」 残月「と、とんでもない！ この残月そのような思いで作成したのでは…」 BF「まあデザイン的には無難だから、とりあえず光と音はナシの方向で」 サニー「ナシの方向で…ってか、こんだけ派手だと引くウマがかわいそうねー」 |
BF「何事だい？」 幽鬼「ああ陛下、お呼び立てして申し訳ありません。 今日はクリスマスということでプレゼントを、と思いまして…」 BF「なんだ、宮殿のほうへ持ってきてくれてよかったのに」 幽鬼「なにか勘違いされてませんか？」 BF「え？」 幽鬼「陛下がプレゼントを、城下の子供に配るんですよ」 BF「へっ？」 幽鬼「表にはトナカイつきのソリも用意してありますので」 BF「いいだろう！ 子供たちにはプレゼントを！ リア充どもには恐怖を配ってやろうじゃないか！」 サニー「あー、なんかこういう映画見たことあるわー」 BF「はーっはっはっは、町中を恐怖に陥れてくれるわ！」 幽鬼「…やっぱ、大司教に頼むべきだったかな…」 |
残月「陛下、大丈夫です。 私の原稿は完璧です」 BF「完璧ったってなぁ…。 国民ども、よくもたくさん集まったな！ そんなにこの僕が好きか、ピザデブと腐女子どもめ！ わが前にひざまずけ！ そのうち靴でも舐めさせてやるぞ！」 サニー「うわあ…なんだ、このあおり文句…」 民衆「うおおおお、陛下ばんざーい！」 民衆「ドS国王、ばんざーい！」 残月「どうです？ 陛下の人気はますます高まるでしょう」 BF「でも人気とモテ度は関係ないんだよなあ…」 サニー「モテたいんかいっ」 |
サニー「ささやかではありますが、山海の珍味をご用意いたしましたと料理長が申しております。 心ゆくまでご堪能ください」 使者「これは、なんですかな？」 十常寺「蛇」 使者「こ、こちらのは？」 十常寺「海蛇」 使者「すると…こちらは…」 十常寺「蛙」 使者「うわああああああん！」 サニー「あらら、飛び出していっちゃいましたね」 BF「なんと無礼なやつだ」 サニー「まあ、慣れてない人にはレベル高いメニューですからねー」 BF「嫌がらせにこの料理を全部、隣国へ送りつけてやろう」 サニー「まー、陛下ってば腹黒ー」 |
残月「陛下、こちらです」 BF「うん」 残月「あれをご覧ください。 陛下よりご依頼があった日からすぐ設計に取り掛かり完成させました。 陛下だけの船です」 BF「おお、これはまた」 残月さあ、ご乗船ください。 長期に渡る航海にも耐えうる船です」 BF「クルーザーでも十分だったんだけどなあ」 残月「少し遊び心を出して、海賊船のようにしてしまいました」 サニー「大人数が乗れるのに、ぼっちって寂しいですね」 BF「女官長、牢に入ってみるかい？」 サニー「ほほほ、いやですわー」 BF「まあいい。 せっかくだからこの船で、各国の海を荒らしまわってやろーかー！」 サニー「リア充憎しが別の方向へ進んじゃいましたわねー」 |
樊瑞「陛下、泳げましたかな？」 BF「少し…いや、そんなのどうだっていいじゃないか」 樊瑞「船とかを魔法で出すのは簡単ですが、やはり泳げたほうがカッコよくありませんか」 サニー「おっと、禁断ワードが飛び出した！」 樊瑞「では、このお札を」 BF「なにこれ」 樊瑞「水中でも息ができますから、安心して溺れてください」 BF「あっ、ちょ、待っ…！」 サニー「うーん、避暑じゃなくて泳ぎの特訓になっちゃったなー」 樊瑞「女官長、ほれ」 サニー「ぎゃあああ、巻き添えー！」 |
アルベルト「わっ、ワシはだな、決して怪しい気持ちで立ち寄ったのではなくてだな…」 BF「怪しい気持ちって、なに？」 怒鬼「女官長を脅した理由は…？」 アルベルト「脅してなどおらん！ 宮廷での最高位に上ったとはいえ、女官長はわが娘。 その娘の身を案じる親心というやつで…」 怒鬼「…嘘だな…」 BF「だね」 アルベルト「へ、陛下まで一緒になって…というか女官長の様子を見てこなければ家に入れないと妻に脅されたのだ！」 怒鬼「…女官長…」 サニー「正当防衛で二三発殴っときゃよかったかなー」 アルベルト「お前までー！ 母さんがどんなに怖いか、よくわかっとるだろー！」 サニー「親衛隊長、お母さまに連絡して引き取りにこさせて。 あとはお母さまからお説教してもらいます」 アルベルト「わー！」 BF「いやー、結婚は人生の墓場って本当だねー」 |
十常寺「何故？」 サニー「そうですねー、料理長のおいしいお料理が食べられるぞ、って言ったら結婚するんじゃないかと思って」 十常寺「一考」 BF「そいつらだけ料理が食べられるなんてずるいぞ！」 サニー「…落ち着いて。あなた、国王でしょ」 BF「で、どうなった？」 サニー「まんまとお料理につられました」 BF「ふーん、どうでもいいけどー」 サニー「はいはい、国王がそういうこと言わないの。 お料理、陛下の分も持ってきてありますから」 BF「よっしゃあ！」 サニー「…3日前のですけど…そういえば、6月って食中毒の季節でもあったわねー」 |
サニー「嘘つき大会が始まってるんですけど…」 残月「ふむ、その嘘はすでに15世紀の文献に出ているな」 サニー「え？ そ、そうなんですか？」 残月「使い古された嘘だな…優勝など言語道断だ」 サニー「あああ、手まで組んじゃって、まるでエ○ァの総司令みたいになっちゃってんですけど」 BF「まあまあ司書、嘘っていうかかわいいホラなんだから…」 残月「なにをおっしゃいます陛下。 嘘、いや、ホラとは本来斬新かつ新鮮でなければならぬもの…私の知っている嘘で優勝しようとは甘い考えですぞ！」 サニー「あ、参加者が次々と脱落して…」 BF「いやー、今年の優勝者はなしだねー。 人選あやまっちゃったかなー」 |
BF「大司教、トリックオア…」 カワラザキ「陛下、なにをやっておられるのです。 一般人と一緒にハロウィンを楽しんでいる場合ではありませんぞ！」 BF「は、はい？」 カワラザキ「陛下はこの国の王なのですから、今宵は先達のために祈らねばなりません」 BF「そうくるかー！」 サニー「あらー、陛下、お気の毒ですわー」 カワラザキ「女官長、他人事のように言っとらんで、お主も一緒だ！」 サニー「きゃー、ヤブヘビー！」 カワラザキ「朝までミサを執り行う！」 |
樊瑞「は？ 陛下の馬車を？ なんでワシが…まあよかろう。陛下のご依頼とあればしかたない」 サニー「ということで、できあがってきたのがこれです」 BF「ずいぶんオーソドックスな馬車だね」 サニー「シンデレラのカボチャの馬車みたいですね」 樊瑞「カボチャですからな」 サニー「は？」 樊瑞「ワシの魔法でカボチャを馬車に変えた、と申しておるのです」 BF「うわ！ 内部、青臭っ！」 樊瑞「カボチャですから」 サニー「これ、このあとどうなるんです？」 樊瑞「一定期間すぎると腐り始めますな」 BF「カボチャだから」 樊瑞「カボチャですから」 BF「えー、じゃあ当日はこれでパレードして、その後は森か海に放置、という方向で」 サニー「自然環境によろしくないですねー」 樊瑞「自然に還るのだから、環境に優しいと言っていただきたい」 |
サニー「11月でーす。 感謝祭にはマーケットがたくさん出ますよ！」 BF「じゃあ、ちょっと城下へ出てみようか。 愚かな民衆どもをながめるのも悪くない」 BF「陛下ってばたまに真っ黒になりますねー」 サニー「あら、あのあたりでなにかもめてますわね」 BF「もめごとの原因はなんなんだい？」 |
サニー「宰相殿〜」 孔明「女官長が猫なで声を出すときは…逃げるべきですな」 サニー「あら、どちらへ？」 孔明「急用を思い出して、各大臣に通達を…」 サニー「まあまあ、こちらはすぐにすむ用事ですから」 孔明「その用事が問題なのです」 サニー「はい、チョコですよぉ」 孔明「…なに入ってるんです？」 サニー「大丈夫！ さっきお父さまにも食べさせたやつだから！」 孔明「…動いてるじゃないですか」 サニー「やーねー、気のせいよぉ」 孔明「へ、陛下、アルベルト殿はどうなったので…」 BF「え？ あ、うん、さっき救急車が走ってったね」 サニー「陛下、押さえつけて。 宰相殿、はい、あーん」 孔明「だっ、だれか！ だれか助けを！」 BF「はい救急車もう一台、追加〜」 |
幽鬼「陛下、こちらへ」 BF「え？ 海じゃないのか」 幽鬼「避暑は海とは限らんでしょう。 ましてや、あんなリア充どもがうようよいるような海に、なぜいきたいのですか」 サニー「痛いとこ、ついてきますねー」 幽鬼「というわけで、陛下のために避暑用のコテージを作りました。 森の中もけっこう涼しいですよ」 サニー「わー、別荘だ別荘だ。 いいなー、一緒に住む人間もいないのにー」 BF「女官長、うるさい」 幽鬼「お気に召しましたか」 BF「もちろんだ。 今年の夏はここで静かに滞在するよ」 孔明「ちょっと女官長、陛下はどうしたんですか！ 国政が滞って…」 サニー「森で現実逃避してるから、宰相殿がお迎えにいってください」 孔明「陛下、帰ってきてくださーい！」 |
サニー「親衛隊長に新しい馬車を依頼しましたけど…一向に動きがないんですよね。 パレードは明日だっていうのに…」 怒鬼「…待たせた」 サニー「どこどこ？ どこに馬車が？」 BF「えーと、これは…親衛隊がいるだけ、だね」 怒鬼「…どうぞ」 サニー「これは…輿？」 親衛隊「せーいっ！」 怒鬼「…かけ声は…不要」 サニー「あらあら、まるでお祭りみたいですねー」 BF「まあ、これはこれでよしとする」 サニー「みなさーん、明日もよろしくお願いしますねー」 |
BF「何事だい？」 商人「あっ、陛下。 実はこちらの方が…」 セルバンテス「わーははは、どのテントもどの店もしょぼいねえ。 さあさあ、私の店なら品ぞろえも豊富で…」 BF「おい、大富豪」 セルバンテス「これはこれは陛下、なにを差し上げましょうか」 BF「じゃないだろ。 感謝祭のマーケットってのは、君みたいな大富豪がくる場所じゃないよ。 とっとと海を渡って貿易にでも出かけてこい」 セルバンテス「そ、そんな陛下…ひどい…」 サニー「はーい、みなさーん、庶民の買い物を楽しんでくださいねー」 BF「今、さりげなく毒吐いた？」 |
BF「えー、今年もこの国の民が、平和で穏やかに暮らしていけるようがんばる所存だ。 そして大司教からもあいさつがある」 カワラザキ「おほん、新年の始まりに当たりひと言…」 サニー「あれ？ もう終わったんですか？」 BF「うん、あとは大司教に丸投げした」 サニー「えー？ そんなのめっちゃ長い話が始まってるじゃないですか。 ああ、ほら、学校の朝礼みたいに次々と貧血起こして倒れてますよ」 BF「じゃあ今年の目標は、国民の体力づくりにする」 サニー「そういう問題じゃねえよ」 |
サニー「それではこれより、歓迎式典の晩さん会を始めまーす」 アルベルト「貴様、マナーがなってないのではないか? なに、貴様は庶民の出だというのか。 ふむ、苦学の末、国の使者にまでなったというわけだろうが…社交界の常識まではわかっておらんようだな。 貴様のような青二才に、このワシが直々マナーを教えてやろう」 BF「あれ？ トイレいってるあいだに使者がいないね」 サニー「泣きながら帰っちゃいました。 完膚なきまでにプライドを叩きのめされたみたいです」 BF「あーあ、アルベルトも容赦ないなぁ…さすが、この娘にしてこの親あり」 サニー「なにかおっしゃいまして？」 |
BF「きたよー」 十常寺「あー、陛下」 サニー「あれ？ なんかいつもと雰囲気違う…」 十常寺「クリスマスなんでちょっと変身してみました」 BF「スーツ姿って変身なんだ…」 十常寺「それより…クリスマスってことで、向こうで少々お待ちください」 サニー「なにかしら、わくわく」 十常寺「はい、特製のプティングに七面鳥の丸焼き、アイスワインにミンスパイ、それからブッシュドノエル」 サニー「きゃー、すごいごちそう！」 十常寺「これくらい作れなければ、宮廷料理人の名が泣きます」 BF「うんうん、さすが料理長、うまいうまい」 サニー「ちょっと陛下、それ私の！」 十常寺「さて、陛下が料理に夢中になってるうちに、私はちょっと城下へ…だれに会うかはナイショ」 |
BF「きたよー」 幽鬼「ああ、陛下。 ご依頼のものはできてますよ」 BF「よし、これこれ。 特大サイズのカボチャのランタン！」 幽鬼「あと、おまけでこういうものもあります」 BF「それもまたでかいカボチャだねえ」 幽鬼「中をくりぬいてあるんでかぶれるんです」 BF「おおおっ、これは！ 女官長、僕ちょっとこれで宰相のところいってくるよ！」 幽鬼「あんたもほしい？」 サニー「私もっ、私もっ。 これであの忍者のところいってきます！」 幽鬼「至るところから悲鳴が聞こえてくるが…いいハロウィンだなぁ」 |
ヒィッツカラルド「女官長殿、このたびは驚かせてしまい、大変申し訳ない」 サニー「あらっ、ヒィッツカラルド殿でしたら別にかまいませんのよ」 BF「うわ、豹変した」 怒鬼「女官長の部屋の外で…なにをしていた…」 ヒィッツカラルド「女性を口説いておりました。 女官のひとりです」 BF「は、破廉恥極まる！ 恥を知れ、恥を！」 ヒィッツカラルド「いい雰囲気にはなったのですが、今回の騒ぎで誘いを断られてしまいましてね」 BF「天罰だ、天罰だ！ 死刑でもかまわん！」 怒鬼「…どうします？」 サニー「あー、あれは毎度おなじみのことだから。 今回のことは不問にしましょ」 BF「勝手に決めるな！ 僕は許さないぞ！」 サニー「はい、無視無視ー」 |
孔明「…私にどうせよとおっしゃるのですか」 BF「説得してくれればいいんだよ。 別れ…いや、結婚しろって」 サニー「今さりげなく本心がのぞきましたね」 孔明「私、いろいろと忙しいんですけどっ！」 BF「で、どうなった？」 サニー「宰相殿、式を挙げないなら婚約不履行だとか、強制的に逮捕するとかさんざん脅したみたいで…」 BF「ふふふ、たまには宰相もいい仕事をするじゃないか」 サニー「…やっぱりこのふたり、組ませるとまずいわ…」 |
サニー「8月でーす、暑いですねー」 BF「海いきたい」 サニー「ええっ、ぼっちなのに？」 BF「今、なんか言った？」 サニー「避暑！ いいですねー」 BF「…ごまかしやがったな」 サニー「では、だれかに避暑の手配をさせましょう」 |